ただし、こうした姿勢は日本の現代政治に対しても同様だ。フローラは言う。
「安倍政権の是非や、日本の改憲や再軍備についても、組織としての見解はありません。日本は民主主義国家ですから、個人的には日本人が自分で決めるべき問題だと思います。歴史問題以外の分野では、私たちは『反日』的な立場を取っているとは言えないのです」
なお、トロント市の郊外には2015年11月に韓国系団体が慰安婦少女像を設置しているが、AEはこの件も無関係だという。
◆クリーンゆえに対処困難
「私は非常に不思議なのです。日本は民主的で教育水準も高い国家なのに、なぜ国民は政府が歴史を否認し続けることに抗議せず、その情報も得ていないのか? 日本が過去の過ちを認めて謝罪さえすれば、本当の平和が訪れるのに」
取材の終盤、なんとジョセフはそんなことを言い出した。日本政府はすでに河野談話や村山談話の内容を政府見解にしており、教科書やメディアでも歴史問題については言及されていると説明しても、なかなか信じてもらえない。
「河野談話や村山談話については知っていますが、あれらの談話は個人のもので、国会で可決された政府見解ではない。誠実ではないと感じます。また、今後どのように過ちに向き合っていくのかという姿勢も感じ取れません」