このように、ジョセフたちは戦後の日本について正確な知識を持っていない。歴史認識や活動内容も「反日」的だ。

 だが、彼らが活動をおこなう心情は、非常にクリーンな善意と良心に満ちている。この矛盾こそが、カナダで多大な影響力を持つ華人系ロビイスト団体・AEの特徴だ。

 彼らが本拠地を置くトロント市は、北米でも有数のリベラルな都市だ。作家のジョイ・コガワなど一部の日系カナダ人がAEへの支持を表明しているのも、現地のカルチャーでは彼らの主張が説得力を持ち、好ましいものとして受け入れられているためだろう。

 いっぽう、在留邦人には保守派を中心に対抗を示す動きも出ているが、その戦略は効果的とは言い難い。

「州政府宛に、南京事件はでっち上げだと何度もメールや手紙を送ったが、日本領事館や日系文化会館からやめるように言われた」

 そう話すのは、現地の保守系日本人市民サークルのメンバーの一人だ。だが、もとより戦勝国史観が根付いた北米で、日本国内ですら異論が多い南京事件の全否定論をぶっても、まともに聞く耳を持たれる可能性はなきに等しい。

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