1988年、大戦中に強制収容を受けた日系人の名誉回復運動を手助けし、カナダ政府に謝罪を要求したこともあります。日系人が受けた迫害も大戦中の日本の暴挙も、ともに正義に反する問題なので取り組むべきなのです」
AEの副会長を務めるフローラ・チョン(劉美玲)も、こう語る。
「(AEは)釣魚台問題の抗議団体がルーツとはいえ、現在はナショナリズムとは距離を置いています。私たちのミッションは次世代のための平和教育。AEとして釣魚台問題に関係した政治運動をすることはありません」
北京からの資金援助も存在しない模様だ。関係者によれば、AEの年間予算は人件費や教育事業へのランニングコストが年間30万カナダドル(約2500万円)程度。すべて寄付で賄っている。
「チャリティパーティーの『アルファ・ナイト』では、1回あたり10万~20万カナダドルの寄付が集まります。映画製作や博物館建設は、これと別途に寄付を集めます。カナダ政府や州政府との関係は良好ですが、中国政府と関係はありません。そもそも、仮に私たちが中国から資金や工作指令を受ける団体であれば、カナダ政府の支持は得られていないでしょう」(フローラ)
ちなみに、AEはアジアの大戦被害の教育がメインの組織だという理由で、たとえ人道問題であっても中国の人権弾圧や天安門事件にはノーコメントだった。