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医師の働き方改革 残業上限で処置が遅れ後遺症残った例も

医師の労働時間が減るとどうなる?

「経過を見たいので、1週間後にまた来てください」──医師に言われたとおりに病院に行くと、診察に現われたのは別の医師。

「あれ? この前の先生は?」
「あぁ、お休みです。でも心配要りません、私“も”あなたの主治医なので」

 現在進められる「医師の働き方改革」によって、こうした診察風景が現実になる。この劇的な変化に、患者の側も「病院との付き合い方」を見直さなければ、自らの健康が守れなくなるかもしれない。

 今国会では「働き方改革関連法案」が議論されているが、なかでも注目を集めるのが「医師の働き方改革」である。医師の時間外労働は原則、月45時間に制限される予定だ。現行では労使協定(三六協定)を結べば、時間外労働は無制限だったが、これも月平均60時間(単月で100時間未満)までに制限されることになる。医師の残業を減らすための方策として挙げられているのが「複数主治医制」だ。

「医師の働き方改革」によって変わることは他にもあるという。現役医師はこう語る。

「当院では法案に先駆けて残業時間に上限が設けられましたが、医師の数は増えていないので、現場が以前より回りづらくなり、患者にしわ寄せが集まってしまっている。象徴的な事例が、当院では昨年と比べ救急車の搬入件数が2割ほど減ったことです。重症ではない患者は、近隣の別の病院に振り分けたためです。

 ただそのせいで結果的に処置が数十分遅れてしまい、患者の命に別状はなかったものの、症状が悪化し、後遺症が残ってしまったケースがありました」

 その患者本人も、まさか医師の働き方改革のために後遺症が残るとは想像もしなかっただろう。

※週刊ポスト2018年5月25日号

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