国内

逮捕者出たナンパセミナー 基本、詐欺師の掌で踊るシステム

ナンパも出会いのひとつではあるが…

 繁華街の路上などで異性に声をかけて誘う「ナンパ」という行為は、男性が女性に向けてなされるとき使用される。軽薄だと嫌われることも多いやり方だが、あくまできっかけなので気にしない人も少なくない。出会いを求める男性向けに、上手なナンパの方法を伝授するとうたうセミナーや塾まで存在する。ライターの森鷹久氏が、ナンパセミナーをきっかけにした性犯罪の危険性と、多くのセミナーに見られる悪辣な手口についてレポートする。

 * * *
 ナンパセミナーで知り合った男二人が、女性に酒を飲ませて乱暴し逮捕された、という事件。一般人にとっては何が何だかわからない、語感ばかりが面白おかしく報じられるばかりの、不可思議なニュースであった。大手紙の警視庁担当記者が解説する。

「ナンパセミナーと呼ばれるサークルで知り合った男二人が、女性に酒などを飲ませて酩酊させた上、乱暴したとして逮捕されました。犯行が、セミナーの主催者らが所有するマンションで行われ、その際に女性に無断で動画も撮影されていたのではないかという話もあることから、当局はセミナー自体にも違法性がなかったか、捜査を進めているといいます」(大手紙の警視庁担当記者)

 男ら二人は、女性の口説き方や性交に至るまでの”テクニック”を指南するという「ナンパセミナー」に入会し、実際に街でナンパをしてみる「実地練習」や、女性心理などについて「座学」で学んでいた。ナンパで知り合った女性とその友人ら四人で飲酒した後に、友人の女性が男らから暴行を受けたが、こうした「ナンパセミナー」の実態に詳しい雑誌記者は、セミナーそのものが「女性蔑視のおぞましいサークル」だと指摘する。

「ナンパの指南塾、といった類のものは、何十年も前からありました。ネットが普及してからは、多くのナンパセミナーが立ち上がり、詐欺まがいの所もあれば、大真面目に”オンナの落とし方”を勉強する所もありましたが、共通しているのは”女性を性のはけ口”としか見ていない連中の集まりだ、ということ。会員は互いに”今月は新規(女性)何人食った”などと自慢しあい、女性と自分のツーショット写真や、時には性交中に隠し撮った写真を見せびらかすのです」(雑誌記者)

 また、別の風俗事情通は、こうした”セミナー”はそもそも、インチキやデタラメの上に成り立っていた、とも話す。

「ネット上のナンパセミナーのほとんどが、とある大手出会い系サイト傘下の会社や個人によって運営されていた時期がありました。元々は”いかにして出会い系サイトで女と知り合い、モノにできるか”というテクニックの指南塾でしたが、出会い系はすでに素人のふりをしたプロの風俗嬢による”援助交際”の場となっていましたし、出会い系サイトの自作自演であった面は否定できない」(事情通)

 要は、ナンパがうまくなりたいとセミナーの門戸をたたく男たちは、出会い系サイトが運営するセミナーに数万から十数万円の高額なカネを支払い、またまた有料の出会い系サイトに登録し、そこで出会ったプロの女性らにカネを支払い交際していた、ということ。もちろん、きっかけはナンパでも、お互いを尊重したよい関係を築くカップルもいないことはない。だが、そんな成功例は「ゼロではない」という程度の存在感だ。

 また、かつてナンパセミナーに参加したことがあるという男性(37)は、新たに出会い系サイトが立ち上がるたびに新しい「ナンパセミナー」が立ち上がり、それぞれの出会い系サイトを使わせることで「数を競う」よう指導されていたことを思い返す。

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
阿部慎之助監督(左)が前田健太(時事通信フォト)の獲得に動いているとも
《阿部巨人の「大補強構想」》前田健太、柳裕也、則本昂大、辰己涼介、近本光司らの名前が浮上も、球団OBは「今はそんなブランド力はない」と嘆き節
週刊ポスト
松田烈被告
「テレビ通話をつなげて…」性的暴行を“実行役”に指示した松田烈被告(27)、元交際相手への卑劣すぎる一連の犯行内容「下水の点検を装って侵入」【初公判】
NEWSポストセブン
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン