芸能

劇場版『名探偵コナン』 5週連続動員1位を記録できた理由

アベンジャーズも叶わない強さを見せている名探偵コナン(公式HPより)

 世界中で大ヒットしているヒーロー映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が、日本では週間観客動員数1位の座を奪えずにいる。1位の座を譲らないのは『名探偵コナン ゼロの執行人』で、累計動員519万人となり5週連続1位。もともと人気が高い名探偵コナンの劇場版アニメシリーズだが、今作は桁違いの大ヒットとなりそうな気配だ。アニメ評論家の藤津亮太氏が、その特大ヒットの理由について解説する。

 * * *
 映画『名探偵コナン ゼロの執行人』が絶好調だ。5月13日までに興収は67億円を突破し、興行成績がシリーズ最高を記録するのは確実の状勢。本作は青山剛昌の同名漫画が原作で、1996年よりTVアニメがスタート。映画も本作が劇場版第22弾となる人気シリーズだ。

 もとから人気のあった映画『名探偵コナン』がここまで特大ヒットに至ったのは、映画『コナン』の“地力”と人気キャラクターという“スパイス”が絶妙に組み合わさった結果といえる。

「地力」というのは、そもそも映画『名探偵コナン』が非常に幅広い広いターゲットに対応している作品だからだ。

 たとえば映画『コナン』は冒頭に必ずキャラクターの紹介を含めた基本設定の説明が入る。これによって間口が圧倒的に広くなっている。さらに主人公・コナン(正体は高校生探偵・工藤新一)とヒロイン・毛利蘭を中心に恋愛要素が含まれていることで、中高生以上にもファンが多い(同じく年一回映画を上映している『ドラえもん』『ポケットモンスター』などは中高生の観客はかなり少ない)。またアクション要素を含んだミステリーものなので、鑑賞後のカタルシスも得やすい。

 これらの要素を大きく変えることなく20年以上にわたって積み重ねてきたことで、ファン層は今や社会人にまで広がっているのである。

 そこに今回、加わったのが安室透という人気キャラクターだ。

 安室透は、2012年に登場した、『コナン』シリーズの中では比較的最近の登場人物だ。その正体は、漫画連載とTVアニメで少しずつ明かされ、映画化20周年の記念作となる第20弾『純黒の悪夢』に満を持して登場。そこで一気に人気が広がった。

 安室は、表向きは、喫茶店のアルバイトで私立探偵見習い。しかしその正体は「黒の組織」(『コナン』シリーズを通して出てくる謎の組織)に潜入捜査官として入り込んでいる公安警察という設定だ。声を『ガンダム』のアムロ・レイ役などで知られる古谷徹がクールに演じているのも注目点だ。

 浅黒い肌に金髪という一見軽そうに見える外観ながら、洞察力は鋭く、愛車RX-7をスーパーテクニックで操るその姿は、女性を中心に人気を集めている。安室を主役にした公式スピンオフ漫画が連載開始となった「少年サンデー」24号は入手が困難になるほどで、安室とコナンが表紙を飾ったアニメ雑誌「アニメディア」6月号は史上2回目の重版となった。

 今回の大ヒットは、地道なブランディングと、映画20周年に合わせた原作やTVとの連動が、大きく花開いた結果なのだ。

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン