その内学校で正式に学びたくなり新宿のカルチャーセンターに通い、一年半で、初級・中級・上級と進み、高校二年にしてチェーホフの『桜の園』を原書で読めるようになった。ところがロシア語の検定試験で不合格になった(文法や和訳はまずまずだったが、聞き取りと露訳が悪かった)ので、もっと本格的なロシア語学校に通うことにした。
その時、偶然出会った言語学とチェコ語で有名な大学教授(千野栄一だろう)から勧められたのが代々木にあったミール・ロシア語研究所だった。ここからいよいよこの本の読み所で、その研究所で出会った教師や同級生など次々と怪人物たちが登場するのだが、もはや紙数が尽きてしまった。
※週刊ポスト2018年5月25日号