志乃:本当にこれは大事だなっていう写真は、そんなにたくさんはない。自分の思い出の中にはもちろんいるけれども、どちらか片方がいなくなって、顔を見たいな~っていう時のために、最低限をとっておくわけ。昭和の時代は紙に焼いた写真がいっぱいあったけど、掃除しながら「どうするのよ、これ」なんて、後で言われたくないしね。
彬:“ねじねじ”もお気に入りだけに減らしたよね。使っていないものも多かったから。絵が描いてあると、ねじると模様がおかしくなって、訳がわからなくなるしね。
志乃:もともとはショールだから、ねじねじ用には作ってないからね(笑い)。気に入ったものを新しく買うためにも、使わないものは処分しないと。
彬:400本くらいあったけど、それを半分にした。この前も入れ替えたけどね、冬物と夏物。
志乃:ねじねじの衣替えがいちばん大変なのよ、量が多いから。
◆ムリに捨てない、ムキにならない
志乃:でも、ちょっとでも迷うものは捨てない方がいい。どっちかが「うーん…」ってなった時は、置いておく。それでしばらく考えて、ふたりとも「やっぱりいらないか」ってなったら手放すの。
彬:おれたち、捨てる時に意見が合わないことは全くなかったね。あれは不思議だね。
志乃:日頃からよく話しているから意見が合うのかもね。うちは飲んだり食べたり、趣味が一緒だから問題ないけど。例えば、夫婦で趣味が違う場合、妻は全然興味がないけど、夫は絶対にほしいとか…。
彬:41年の間にふたりの趣味も合ってきたんだろうなぁ。価値観が違うでしょ、男と女は。例えば、昔だったらマッチを集めたりさ。女から見たら「マッチなんか集めてつまんない」って思うだろうけど。『崎陽軒』のひょうたんとかさ。
志乃:本人にとっては、「ひょうちゃんの柄がこうだ」とかこだわりがあるんだよね~。
彬:え!? 志乃、よく知ってるねぇ~。
志乃:そうでしょ、「この柄はあんまりないんだけど、やっと当たったんだ!」とか彬が言ってたから。
彬:おれもとってあるよね、結構(笑い)。
志乃:私にはどうでもいいものでも、彬にとっては、ただの“ひょうちゃん”じゃなくて、特別なのよね。もう何年も連れ添って終活をしようなんていう夫婦は、お互いのことをわかっているから。「この人はこういうものが大切なんだ」というものには触らない。それができないとけんかのための終活になっちゃう。
彬:「そんなくだらないもの!」って言ったら、すぐけんかになっちゃうよね。
志乃:あとはムキにならないこと。ちっとも片付かなくても、捨ててから悲しくなるんだったらやらない方がいい。しばらく置いておいて、いらないねってふたりが納得したら捨てればいい。時間がかかるんですよ~。だから少しでも早く始めた方がいいの!
※女性セブン2018年6月7日号