共産主義思想を確立したカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスのそれぞれの手書きの原稿が5月21日、北京で行われたオークションに出品された。初値がそれぞれ120万元(約2000万円)と55万元(約950万円)から競売にかけられたが、最終的にいくらで競り落とされたのか、誰が競り落としたのかは発表されていない。
今年5月5日はマルクスの生誕200周年で、北京では盛大な200周年記念大会が行われ、習近平国家主席が「中国のマルクス主義選択は完全に正しい」と長大な論文を読み上げ、マルクス理論を称賛。さらに、中国政府はマルクスの生地、ドイツ西部トリーア市政府に対して、土台を含む高さは5.5メートル、重さ2.3トンもの巨大なマルクス像を無償で贈るなど、中国ではマルクス・ブームに沸いている。中国の政府系通信社「中国新聞社」が報じた。
冒頭の競売にかけられたのはマルクスの「ロンドン・ノート」の原稿のうちの1枚。英語にドイツ語が混じっている手書きのもので、英国の銀行家で経済学者のジェームス・ウィリアム・ギルバートの著書『A Practical Treatise on Banking』からの抜粋とそれを分析したメモである。
この1枚の手稿は、マルクス自身のその後の研究や著作などにも影響を及ぼしたとされる。
これと一緒にオークションに出品されたエンゲルスの手書き原稿も1枚だけだが、要塞に攻め入る戦法を詳しく分析した内容が書かれている。
これら2枚の手書き原稿はイギリス、ドイツの収集家を経て数年前に日本の好事家の手に渡った。その後、台湾から中国大陸の収集家が手に入れ、今回のオークションにかけられることになったという。