トリプルスリーを目指す主将・浅村栄斗


「打ちまくっている印象が強いかもしれませんが、爆発的な得点力を支えているのは四球でも出塁するとか、次の塁を積極的に狙うといった意識なんです。昨年、辻監督が就任してから、その意識が徹底されたように思います」

 チーム四球数はリーグ1位の169個。盗塁といえば、今季から井口資仁新監督が就任した千葉ロッテの走塁改革が注目を集めているが、ライオンズはそのロッテ(46個)をも上回る49盗塁を記録している(12球団の平均盗塁数は29個)。

 西武黄金時代(1982~1994年。4連覇・5連覇を含む11度のリーグ優勝、8度の日本一)を支えた辻監督は、「巧い選手」の代名詞のような存在だった。隙のない守備、そつのない打撃、積極的な走塁……現代版の山賊打線は、太平洋クラブ時代をルーツとする荒々しさ、緻密で技巧的な「辻野球」が融合したハイブリッドスタイルなのだ。

「かつての山賊打線のメンバーでもある土井正博さんが打撃コーチを務めていた時代から、フルスイングは徹底されていました。ただ現在はその伝統を引き継ぎつつも、1~3番、そして6番以降のバッターには、つなぎの意識が芽生えてきている。そういう役割が明確な点もこの打線の強みでしょうね」(前出・中島氏)

 いよいよ今週から「日本生命セ・パ交流戦」が始まる。嶋コーチは、「普段とは違う投手との対戦ですし、勝負事なので何とも言えないんですが」と謙遜しつつも、「ファンの方たちには強い西武打線をお見せしたいですね」と自信を覗かせた。

 豪快なフルスイングと、緻密で積極的な走塁から繰り出される圧倒的な攻撃力。お行儀のいいセ・リーグの各チームは、進化した“山賊”たちの破壊力に度肝を抜かれるに違いない。

■撮影/藤岡雅樹、取材・文/田中周治

※週刊ポスト2018年6月8日号

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン