社会学の中には、「一般化された他者」という概念がある。これなどは、世間のことだとうけとめておけばいい。「社会関係資本」も、世間の大きさ、顔の広さをしめす指標だと理解すれば、それですむ。このわかりやすさは、ありがたい。おおげさな術語は学会むけの隠語であり、本質的には不要であるという。喝采をおくりたくなる科白である。
私には、第五章の「居場所」を論じたところが、とりわけおもしろかった。空間と振舞のかかわりが、明快に論じられている。まあ、講壇社会学は、あいかわらずはねつけそうな気もするが。
※週刊ポスト2018年6月8日号