筆者は今年3月、松本氏にインタビューしたが、その時の最後の話題はプロ経営者についてだった。これまでにもプロ経営者と言われた人は何人かいた。しかし一つの会社では実績を残せても、次の会社では期待を裏切ったケースも多い。
その理由について松本氏は、「経営に専念していないから」と言い切った。業績を上げて注目されると、公私それぞれで様々な誘いがくる。それをすべて受けているとやらなければならないことが増える。すると本業に専念できず、結果がついてこない。そしてもうひとつ挙げた理由が「お金にこだわりすぎること」だった。
報酬はプロ経営者としての尺度のはず。たとえば日産を再建したカルロス・ゴーン氏の報酬は10億円を超える。それがゴーン氏の評価となる。しかし松本氏は筆者にこう語った。
「たくさんもらうことはいいが、金銭だけを見てその会社に行く、となるとおかしくなる。面白い会社だな、やりがいがある、が先で、お金は後からついてくる。カルビーに来た時、お金の交渉なんてまったくしなかった。でもこの会社なら絶対よくできるという自信があった」
これはRIZAPにもあてはまるはずだ。魅力として挙げた「おもちゃ箱」は、見方を変えれば雑然としてまとまりがないということでもある。この「おもちゃたち=買収した会社」をきちんと整理し、束ねることができればRIZAPはさらに成長できると松本氏は考えたのだろう。
松本氏のプロ経営者としての新たなるステージがこれから始まる。