ライフ

食事をひとりで食べる「孤食化」が進行 これでいいのか

本来「食」は人生を豊かにする楽しいもの(写真:アフロ)

 食卓を囲む、そんな表現に縁のない人が増えている。コミュニテイのあり方は多様化しているとはいえ、食生活は健康にも直結する大問題だ。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が指摘する。

 * * *
 この5月末、2017年度版の食育白書が発表された。その報道には、こんなふうな見出しが打たれていた。「週半分超『孤食』は15%。比率上昇と食育白書」と。

 そこでうっかり「週の半分」の意味を取り違えてしまった。「3食×7日=21日の半分超……。つまり、週12食以上孤食だという人が15%なのか」と思ってしまったのだが、この捉え方は間違っていた。

 調査では「1日のすべての食事をひとりで食べる」を「孤食」と定義づけていて、その頻度が「週4日以上」に上った人が15%いたという。その内訳も「週4~5日」が4.3%に対して「ほとんど毎日」が11.0%。「孤食」は先鋭化しやすいのだ。

 だが問題の本質はそこではない。そうならざるを得ない背景のほうだ。対象者に「孤食について」聞くと「一人で食べたくないが、食事の時間や場所が合わないため、仕方ない」が35.5%、「一人で食べたくないが、一緒に食べる人がいないため、仕方ない」が31.1%。全体の三分の二が「一人で食べたくないが、仕方ない」と回答している。

 白書内では「仕方なく「孤食」になってしまう背景」として、単数世帯や夫婦のみの世帯、ひとり親世帯の増加などを理由に挙げているが、若い層や都市部に住む人の「仕方なく」に対して明快な対策を打ち出せていない。「孤食」は働き方も含めたライフスタイル全体の話に関わる話でもある。

 2005年に食育基本法が施行されて以来、「食育」は「知育」「徳育」「体育」の基礎となるべきものと位置づけられている。2016年からの5年間、「第3次食育推進基本計画」として取り組むべき施策として、以下の5つの重点課題が規定されている。

(1)若い世代を中心とした食育の推進
(2)多様な暮らしに対応した食育の推進
(3)健康寿命の延伸につながる食育の推進
(4)食の循環や環境を意識した食育の推進
(5)食文化の継承に向けた食育の推進

 重点課題として「若い世代に対して」「多様な暮らしに対応した」食育の推進が真っ先に挙げられているが、食や健康に対する意識格差は大きい。「前提となる環境づくり」と「食への意識づけ」という異なるアプローチが必要となる。白書内に紹介されていた高齢者向けのコミュニティサロンや農業体験と連動した地方の食堂イベントなどのほかにも、都市部における「若い世代に対して」「多様な暮らしに対応」した提案が必要になるはずだ。

関連記事

トピックス

お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山上徹也被告が語った「安倍首相への思い」とは
「深く考えないようにしていた」山上徹也被告が「安倍元首相を支持」していた理由…法廷で語られた「政治スタンスと本音」【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカの人気女優ジェナ・オルテガ(23)(時事通信フォト)
「幼い頃の自分が汚された画像が…」「勝手に広告として使われた」 米・人気女優が被害に遭った“ディープフェイク騒動”《「AIやで、きもすぎ」あいみょんも被害に苦言》
NEWSポストセブン
不同意性交と住居侵入の疑いでカンボジア国籍の土木作業員、パット・トラ容疑者(24)が逮捕された(写真はサンプルです)
《クローゼットに潜んで面識ない50代女性に…》不同意性交で逮捕されたカンボジア人の同僚が語る「7人で暮らしていたけど彼だけ彼女がいなかった」【東京・あきる野】
NEWSポストセブン
TikTokをはじめとしたSNSで生まれた「横揺れダンス」が流行中(TikTokより/右の写真はサンプルです)
「『外でやるな』と怒ったらマンションでドタバタ…」“横揺れダンス”ブームに小学校教員と保護者が本音《ピチピチパンツで飛び跳ねる》
NEWSポストセブン
台湾有事を巡る高市早苗首相の発言から緊張感が高まり続けている(時事通信フォト)
《台湾有事のゼロ日目は始まっているのか》米・シンクタンクが想定する3つの“開戦シナリオ” 防衛族の与党重鎮は「中国側に開戦の口実を与えてしまった」と憂慮
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
公設秘書給与ピンハネ疑惑の維新・遠藤敬首相補佐官に“新たな疑惑” 秘書の実家の飲食店で「政治資金会食」、高額な上納寄附の“ご褒美”か
週刊ポスト
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン
現在は三児の母となり、昨年、8年ぶりに芸能活動に本格復帰した加藤あい
《現在は3児の母》加藤あいが振り返る「めまぐるしかった」CM女王時代 海外生活を経験して気付いた日本の魅力「子育てしやすい良い国です」ようやく手に入れた“心の余裕”
週刊ポスト
上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン