この事業部が手がけるビジネスは、HPに記された内容にとどまらないようだ。会社登記の「目的」欄を確認すると、「酒類の販売」「冠婚葬祭業」「旅館業、ホテル業」などと、70項目にまで膨れ上がっている。
設立は田中氏が理事長に就任した2年後の2010年。それに先立って、田中氏は出身地・青森の県紙、東奥日報社長との対談で“起業”への思いをこう語っている。
「今、日大は事業会社を興そうとしています。(略)大学の経営を預かる立場として、事務組織を機動性のあるものにし、本部をはじめ肥大化した組織をスリム化していきたい」(東奥日報2009年10月23日付)
田中氏の情熱は、会社の業績に現われている。民間の調査会社によれば、早稲田、慶応、明治が設立した3社は、それぞれ売上高が20億~30億円前後で推移しているのに対し、日大が全額出資する事業部は、2017年12月期決算で69億円の売上高を計上した。大学本体への寄付が4億円あり、その後に5400万円の純利益を確保している。
6年連続の増収増益を達成しており、売り上げは2012年と比べ14倍に急増。この間、黒字決算を続け、赤字転落の年もある早慶などの“子会社”とは違いが際立っている。
※週刊ポスト2018年6月15日号