「鶴橋監督も素敵です。監督のためにみんな頑張る。『愛の流刑地』はずっと裸になっているような映画でしたが、そういうことが全く気にならないんです。とにかく監督のためにいいシーンを撮りたい。それしかなかったです。今回の作品もそうです。
みんな『鶴橋組』を愛する役者さんたちばかりで、監督さえ喜んでくれればあとはどうでもいい、という感じでした。
監督は、凄く気を遣う方で、目に見えないところまで気を配られるんです。今回は久し振りの出演でしたが以前と変わっていなかったですね。監督のこだわりが好きなんです。
もちろん、鶴橋監督みたいに同じ監督と何回もやらせて頂けるのは楽しいです。でもそれだけではなく、これからの日本映画を背負っていく新しい監督ともやってみたい。そういう才能が埋もれていくのは良くないですから、頑張って発信したい。それがこれからの使命だと思っています。
四十五歳なのでこの先そんなにいい役が日本で見つかるのかな、と考えたりはします。それでも最終的には『この役は寺島しのぶしか考えられなかった』と言われるような役をやっていきたいです」
●かすが・たいち/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『鬼才 五社英雄の生涯』(ともに文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社)など。本連載をまとめた『役者は一日にしてならず』(小学館)が発売中。
■撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2018年6月15日号