国内

進む拉致被害者家族の高齢化、横田夫妻が置かれた残酷な状況

滋さんの入院から2か月。早紀江さんは病院と自宅を往復する生活

 つい半年ほど前まで、「東京を火の海にする」と叫びながら日本海にミサイルを撃ち込んできた北朝鮮。それが突然の“微笑み外交”なんて嘘くさいが、米朝首脳会談は実現した。拉致被害者家族たちは「期待しすぎるとあとでつらい思いをする」と冷静ながらも、並々ならぬ思いで行く末を見守っている。本当にこれがラストチャンスかもしれない。

「今、お父さん(夫の滋さん・85才)が入院する病院に行ってきたところです。もう、忙しくて、忙しくて…。米朝会談ですか? なにもわかってないでしょう。もう、しょうがないですよ、どうにもならない。私たちは親だけど、どうにもならない…」

 神奈川にある自宅前で、横田早紀江さん(82才)は、両手に大きなバッグを抱え、疲れのにじみ出た表情でそう語った。米朝首脳会談を目前に控えた6月上旬の午後だった。

 苦節41年。13才のわが子・めぐみさんを連れ去られたあの日から、あまりにも長い時間が経っていた。米朝トップ会談は、一筋の光となったのか、それとも──。

 6月12日、史上初の米朝首脳会談がシンガポールで行われた。朝9時から昼過ぎまで、たっぷりと語り合ったドナルド・トランプ大統領(72才)と金正恩委員長(34才)。数か月前まで、「アメリカの老いぼれの狂人」「北のロケットマン」と罵詈雑言を飛ばし合っていたとは思えないほど終始笑顔。何度も握手し、肩や背中を触りあい、親密さをアピールした。全国紙国際部記者の解説。

「今回の会談の焦点は、北朝鮮の完全な非核化でした。トランプ氏はずっとこれを強く主張してきましたが、そう簡単なものではないことに気づいたのか、会談直前に“核廃棄は急がなくていい”とトーンダウン。トランプ氏は会見で“すぐに非核化のプロセスに取りかかる”と強調しましたが、結局、段階的にやるという玉虫色の結論でした」

 世界の注目を集め、サプライズの合意文書へのサインが行われ、会見ではトランプ氏が成果を強調した。しかし、実際には具体的な進展はほとんどなかったというのが、本当のところだ。そもそも、過去に何度も合意を無視してきた北朝鮮が、これから本気で取り組むのかを疑問視する専門家も多い。

 そして、日本にとっては最大の関心事といえるのが、拉致問題だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト