大阪市のホームページを見てみると、市民から市に対して同様の指摘が再三されている。それに対して市は、禁止区域外は地域の住民や事業者の団体が主体となって普及啓発活動に取り組んでもらっている、「アカンずきん」というキャラクターで啓発を行っている、などと回答しているが、市民からの不満の声はなくならない。
同ホームページには、市からの回答のひとつとして「路上喫煙の問題は、基本的にはマナーやモラルの問題であると考えている」というものがあった。もう個々の大阪人のモラルに任せるしかないのだろうか。
◆「ビール飲んでタバコ吸うてナイター見るのが定番やった」
平成20年に橋下徹・前大阪府知事の意向で大阪府庁内の喫煙所が完全廃止されたが、その7年後に復活している。理由は、タバコを吸う場所を失った府の職員が周辺で路上喫煙するようになってしまったからだ。しかも、その喫煙場所が大阪の大切な観光資源でもある大阪城公園だったから、バツが悪い。やむなく、庁舎の近くの府有地である駐車場に職員用の喫煙所が設けられた。
この事例が示すのは、喫煙者の中には「吸う場所が無いから路上で吸う」層がいる、ということだろう。そうした意味で身近な例として注目すべきは、お隣、兵庫県の甲子園球場かもしれない。大阪在住の阪神ファンの男性(50代)が語る。
「甲子園は、21世紀に入っても喫煙し放題の球場やったんや。でも、いよいよ時代の波が押し寄せて、ある日、スタンド内は禁煙と発表された。そんなん阪神ファンには無理やと思たわ。ビール飲んでタバコ吸うてナイター見るのが定番やったからな。
でもな、意外や意外。みんな“決まり”守っとるんやわ。うまいこと阪神が守備の時間だけタバコ吸いに行ったりして、喫煙所のモニター越しに観戦や。隣り合ったファン同士で盛り上がったりな。大阪人のモラルが無いんやない。吸う場所や決まりがあったらきっちり守るんや」