希望の党の代議士、柚木道義が国会でその件を質すと、財務省官房長の矢野康治がこう言い放って顰蹙を買う。
「中身がわからないことには、処分にいたらないのが世の常ですよ。その方(被害者)が財務省でなく弁護士さんに名乗り出て、名前を伏せておっしゃることが、そんなに苦痛なのか」
さらに国会答弁で、「くそ野郎扱いをされています」という矢野の“迷言”も悪評フンプンだ。主税畑の財務官僚は言う。
「あの対応には驚きました。矢野さんは財務官僚の中でも如才ないことで有名です。性格は明るいが、腰が低く、発言は控えめで失敗を恐れる。悪くいえば太鼓持ちタイプ。そんな人があそこまで強気で無茶なことを言うのだから、相当に必死なんだな、とも思いましたけど、あまりにお粗末。もはや財務省が壊れかけている」
なぜこんな事態に陥ったのか、と聞くとこう嘆いた。
「とくに矢野さんは、財務省が犠牲になっても安倍政権を守らなければならないという意識が強い。だから福田さんがすぐに辞めたら政権がもたないと考えたのでしょう。それでは財務省の組織防衛はできない」
福田がセクハラを否定し続けたのは、大臣の麻生や財務官僚の驕りから来る横暴だとみる向きもある。が、その実、「あるものをない」と無理やり否定する。それは、安倍政権に共通した失敗の連鎖でもある。