「まあ捕まるよね(笑)。有料サイトからパクッてきた動画をDVDにして、ネットに疎いオジサンたちに売りつけてたんだけどね、客から足が付いたって感じかね。でもね……。有料サイトも違法なもんだから俺は訴えられないわけよ。わいせつ物の販売くらいじゃ大した罪状にはならないし、そこまで大掛かりに販売しているわけじゃないから、ちょろっと拘留されるか、罰金払うかで済むの。だから懲りるわけないでしょ(笑)」
今年に入ってからも、全国で同種の業者の摘発が相次いでいるが、確かに一件ごとの事案をよく見ていくと、全て「大量所持」や「大量販売」を組織的に行っていたという場合だけ。もちろん警察が「広報」しない事案もあるため、山本さんのような人々がこっそり摘発されている例もあろうが、そうした人々が受ける社会的制裁もまた、微々たるものであるのかもしれない。
「とにかく楽なんだよね。あと、この手のビデオ好きだし(笑)。違法な無修正サイトがどんどん増えてるから、こっちもどんどんDVD作って売らないと。これさ、ほんとに死ぬまでできる仕事だと思ってるからね。前科つったって”バカだなあ”って言われるくらいで、その辺のリーマンより儲かってるし……。あと、田舎で親の介護しながらでもできるのがいいよね。今の俺がそうだもん」
一方で、前出社会部記者は、次のように見ている。
「違法DVDの元となる、今までは野放し状態だった海外の違法動画サイトへの締め付けが去年から強くなっています。その先にあるのが、違法DVD業者の摘発です。まずは大規模な業者が目につけられているようですが、今後は個人でやっている場合も厳しく追及されるでしょう。現状は違法なポルノ製造という、量刑でみると微々たる罪にしか問われませんが、共犯者やお金の流れなど、組織の全体像をつかむ突き上げ捜査も厳しくなっており、拘留期間が長くなっているという話もあります。たかだか”ポルノ製造”と侮っている連中をのさばらせておくつもりはない、ということでしょう」(社会部記者)
こうした現状を知ってか知らずか、もはや法を守るつもりなど一切ないと開き直る山本さん。反省するどころか「一生の仕事」とまで言い切るのだが、違法は違法。儲かるし、逮捕されてもたいしたことないと笑うが、海賊版業者の間では、逮捕されたときの勾留日数が長くなってきていると囁かれている。厳罰化がすすむ先には、明らかに割に合わない商売となるのは間違いない。それでも彼らは「止められないですね」と笑っていられるだろうか。