「今は本当に悲観がなく、すべて前向きで希望に満ちて生きています。毎日が本当につらくて、光のない道をさまよっていた10年前に比べると雲泥の差です。ここから先は私たちだけじゃなく、いろいろな人の力を借りながら、あすかは少しずつ伸びていくんじゃないかと期待しています」(福徳さん)
あすかさんは現在、初の全国ツアーを開催中だ。7月13日には東京・紀尾井ホールでのリサイタルを控える。
本誌・女性セブンの取材時、チョコレートの包み紙で花のブローチを作っていたあすかさんに本番への意気込みを聞くと、記者もどきりとするような鋭い答えが返ってきた。
「演奏が始まる前はお客さんの“この子実際はどのくらいピアノが弾けるんだい? お手並み拝見”という空気を感じるの。だけど、ピアノを弾き始めると、その空気が一気に変わる。弾き終わってロビーに出て、みんなが喜んでいる顔を見ると、受け入れてもらえたんだな、よかったなと思うんです。
私がピアノを続けてよかったのは、自分の心がわかるようになったこと。今はピアノで自分を素直に表現できて、お父さんもお母さんもリサイタルの時にニコニコ笑っているとすっごく嬉しいです。
私は自分の心を素直に弾くので、それを聴いて悲しくなって涙を流す人もいるし、温かい気持ちになる人もいれば、笑顔が止まらないっていう人もいます。でも最後に終わった時に、来た時よりちょっとすっきりしてニコニコ笑って帰ってくれるようにしたいです」
「友達」であるピアノの鍵盤を触りながら笑顔のあすかさん。取材の最後には今回のツアーのため作曲した『木もれびの記憶』を披露してくれた。
太陽がクスノキの葉にあたり、緑色の光になって彼女を包み込む情景をイメージしたというこの曲。数々の苦難を経験したあすかさんの目の前には、名前に込められた思いの通り、未来に向かう優しい道が広がっている。
※女性セブン2018年7月12日号