「確かに過去の犯行がある種のヒントになった面はあるかもしれません。しかし、小島容疑者のように心に闇を抱えた人間は、遅かれ早かれ犯行に及んでいたでしょう。犯罪を増長させるかもしれないという理由で、事件の報道を控えるのは言語道断です。むしろ徹底的に取材をして、犯人がなぜそこまで追い詰められ、犯行に手を染めたのか、犯罪が起きた理由を明らかにすることが必要なのです」
しかし現状、そのような報道姿勢を持っているメディアは少ない。
「取材者が事件や事故を他人ごととして捉えているところに、現代のメディアが抱える問題点が集約されています。自分のこととして捉えていないから、報道内容が薄っぺらくなってしまう。もともと、ぼくらの時代の新聞やテレビは、酸いも甘いも噛み分けたヤクザまがいの企業でした。ところが、今の新聞やテレビは特権意識を持つエリートだらけ。所属する記者クラブで官僚の公式発表を頼りに番組や記事を作って、それ以上取材をしない。下手に突っ込んだ取材をして失敗したら、せっかく築いた地位を失いかねないから、おためごかしの報道に終始するようになったのです」(田原さん)
※女性セブン2018年7月19・26日号