国内

SNSに写真公開は普通の行為に 事件現場もスイーツも同じ

後を絶たないSNSの暴走(写真/時事通信社)

 走行する東海道新幹線の車内で男女3人が殺傷される事件が発生し、小島一朗容疑者(22才)が逮捕された。この事件によって、「SNS」が生み出す闇が明らかになった──。

 6月9日午後9時50分頃、小島容疑者による犯行の発生から間髪を入れずツイッター上に、まるで洪水のように次々と情報が流れ出し始めた。

《刃物持った人が出てきて電車止まった》
《乗ってる新幹線の中で刺された人がいてやばい大混乱》

 リアルタイムの速報性はSNSの大きな武器であり、災害発生時などにこうした迅速な情報は大きな意味を持つ。

 だが一方で、懸念材料も多い。今回の事件では、容疑者が取り押さえられた後、乗客を通じて現場の様子が報道された。

 その中に、事件発生直後の大混乱する現場で、妊娠中の女性乗客が「赤ちゃんがいるんです!」と叫んだ、という内容のものがあった。すると、ネットの掲示板やツイッターには次のような投稿が続出した。

《無差別殺人で誰が殺されてもおかしくないのに、赤ちゃんは他の命よりも優先されて当然だと言いたいのか?》
《赤ちゃんという未来を背負っている私を優先的に助けろと言いたいんだな》

 さらには、容疑者と同じ車両に乗り合わせた乗客に向けても、心ない言葉が投げかけられる。

《勇気を出して立ちはだかった犠牲者は偉いが、あの車両に何人の男がいたんだろう。なぜ加勢しない。対1人なら押さえ助けられる。居合わせた男たちは人間のクズだ》

 これらの投稿はいずれも、突然襲って来た危機におののきながらも何とか一命を取り留めた当事者を、外部の安全な場所から誹謗した言葉で、対岸の火事、もっといえば、高みの見物の体すらある。

 SNS事情に詳しいネットニュース編集者の中川淳一郎さんが解説する。

「ネットに散らばっている、被害者を強く批判するようなコメントは、どれも現実の世界なら通じない無茶苦茶な言い分ばかりです。しかし、ネットの世界では同じように偏った意見を持つ少数の人たちが賛同して、『そうだそうだ』と何度も書き込む。

 すると最初に投稿した人は“これだけ味方がいるから、やっぱりおれは正しいんだ”と変なアドレナリンが出て、さらに書き込みを続けるようになる。これがSNSの恐ろしいところです」

 少人数がネットに書き込んだ“極論”によって現実に被害が及ぶ例も頻発している。最近では、ロックバンド『RADWIMPS』が愛国心を歌った楽曲『HINOMARU』に「これは軍歌みたいだ」とのクレームがついて炎上した。ネット上では、ライブ会場前での反対デモや不買運動まで計画された。ほかにも、飲料メーカーのネット広告の表現が女性蔑視だとしてバッシングされるなど企業の広告が炎上する例も後を絶たない。

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン