子供の夏休みといえば、7月下旬から8月いっぱい計40日間と長い休みが当たり前だったが、エアコン設置に伴い、夏休みを1週間短縮して二学期を8月下旬からスタートさせる学校も出てきた。私立に至っては、夏休みのスタートが8月に入ってからで、わずか15日程度で終わりという学校もある。
「ウチは共働きだし、子供の学校にエアコンがついて快適に勉強できる環境なら、夏休みを短くしてもらったほうがありがたい。水泳も学校の授業時間内でしっかり教えてくれれば、夏季のスイミングに通わせる必要もありませんしね」(千葉県内の30代女性)
親としては、夏休みが短縮される分、仕事や家事など自分の時間が持てるうえ、授業時間が増えて子供の学力アップも期待できる。それこそ言う事無しだろう。
だが、極端な夏休みの短縮に異を唱えるのは、安田教育研究所代表の安田理氏だ。
「共働き世帯が増えて、ただでさえ親子で過ごす時間が減っている中、せめて暑い夏ぐらいは、のんびりと休んで家族団らんをしたり、旅行に出掛けたりするのもとても大切なことです。
いまは家庭教育どころか“友達感覚”の子供に嫌われたくないとの理由で、キツく当たれない親が多いと聞きます。勉強や運動、日常生活全般において子供のしつけができないので、何でもかんでも学校や塾、習い事に頼ってあれこれ要望してくる。
その延長線上で短い夏休みも歓迎しているのだとしたら、家庭教育の劣化はますます深刻になっていくでしょう」
エアコン整備に伴う夏休み短縮の狙いを、単に「学力向上のため」と一括りにしていいのか。授業時間が増えれば、教員不足や過重労働問題へのしわ寄せも避けられない。夏休みの意義とは何なのかを改めて議論してみる必要はありそうだ。