ジャーナリストの出井康博氏


“偽装留学生”がビザを取得する際のカラクリに関し、日本側は承知のうえで彼らを受け入れている。日本では今、低賃金・重労働の仕事で人手が圧倒的に足りない。そんな仕事を担う労働者として彼らを利用するためである。

 しかし、現状を放置していれば、ベトナム人による犯罪は増え続け、やがて社会問題と化していくだろう。2000年代前半、中国人“偽装留学生”の犯罪が急増(*)した際と同じである。

【* 2003年、東京都内では外国人犯罪に占める留学生の割合が4割に達した。同年、困窮した中国人留学生3人による「福岡一家4人殺害事件」が発生し、全国に衝撃を与えた。】

 最近では、ネパールやスリランカなどからの留学生増加も著しい。彼らもベトナム人と同様、大半が多額の借金を背負って来日する。いつまで政府は「人手不足」を言い訳にして、“偽装留学生”の流入を認め続けるつもりなのだろうか。

【PROFILE】出井康博(いでい・やすひろ) 1965年岡山県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙「ザ・ニッケイ・ウィークリー」記者、米シンクタンクの研究員等を経てフリーに。著書に、日本の外国人労働者の現実を取材した『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)などがある。  

※SAPIO2018年7・8月号

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