園監督が初のR-18自由論『獣でなぜ悪い』(文藝春秋)を上梓
──日本での映画はしばらくは?
園:日本人に向けて、日本で撮るべきものがある時だけやりますけど、予算も少ないのにエンタメをわざわざ日本で撮る必要がない。日本なんか製作費2億とか、大きくても15億ぐらいが精一杯っていうのが、今の日本の製作費の状況。15億っていったら、ニコラス・ケイジのギャラなんで(笑)。そういう意味でハリウッドで勝負するのは面白いです。
最初はいわゆるハリウッド的なアクション映画を撮るんですが、ゆくゆくはオリジナルの自分の映画を中心に活躍したいなと思ってるんですけどね。
──すると来年は外国にいる時間の方が長い?
園:それはわからない。完全に住居を移すかどうかはこれから考える。アメリカはでかいじゃないですか。NYに住んで、ロスでミーティングするぐらいだったら、別に日本にいるのとあまり変わらないんですよ。飛行機移動のこと考えると。
──日本の映画業界は縮小しているようですが、これから監督も俳優も全て、関わる職種は厳しくなってくると?
園:日本は世界でもどんどん最低の部類になってますね。どうなっていくんだろうなってみんな危惧はしてる。人手不足の問題もあります。助監督のなり手もいなくなってきていますから。スタッフが足りなくて、もう素人を使おうと思ってるくらい。ギャラが少なすぎてみんな辞めていっていますね。本当にね、このままだと映画の製作現場からどんどん人がいなくなっちゃう。
──それは心配ですね。日本でいい作品を作りたくても予算が…
園:やっぱりこの先、日中合作とかいろいろやって視野を広げないと。日本だけでやってると厳しいですね。
──おそらく中国と日本では俳優のギャラが全然違うと思うのですが?
園:全然違うどころか天文学的に違うよ。
──それでは日本の俳優もハリウッドに限らず、外に出て行くべきでは?
園:ハリウッドは難しいから中国にするといいね。中国だったらまだ可能性はすごくあると思う。中国語が話せなくてもアフレコで大丈夫なら、役者は中国目指した方がいいと思いますね。
──日本の映画業界で監督が闘っているのというはどういうところでしょうか?
園:今はもう、闘いもしてないんで思い出の話になっちゃって(笑)。日本のプロセスに飽き飽きしちゃったからアメリカ行くってのもあるんだけど。日本で映画を作ると映画祭に行って、映画祭で評価されて、その反響でヒットを狙う。そんなサイクルを一生やり続けるなんて疲れるし嫌だなって。アメリカ行っちゃえば映画祭になんて出さなくていいから(笑)。流通的に、ハリウッドで映画祭に頼る映画なんて観たことない。そのまま公開するだけなんで。
──映画祭は重視されないんですか?