映画業界の今と今後の自身の展望について語る園監督(撮影/疋田千里)


園:彼らの社会ではヨーロッパの映画祭なんて価値がないので何の武器にもならないですよ。たとえば『シェイプ・オブ・ウォーター』って映画はベネチアでグランプリ獲りましたけど、アメリカでそれは売りにならないからポスターに全然載せてない。それより、まだ賞を獲る前だったので、ゴールデングローブとかアカデミー賞とか、国内でノミネートされたことをポスターに出してる。

 彼らはヨーロッパの映画祭とかコンペでの評価に全く興味がないんですよね。逆にいうとわざわざ出さなくてもプレスの力があるということでもある。世界映画祭ってプレス力のない小国のためのものなんですよ。小さな国が世界に発信するときに、世界映画祭に出すことでやっとちょっと広がる、そういう意味があるんです。サッカーも似たところがあるよね(笑)。

──監督は、人は単独者として力強く生きていくことが大事だと説いています。芸能界ではグループを出てそれぞれの活動を始めた元SMAPを応援する気持ちもあり、『クソ野郎と美しき世界』の監督を引き受けたと。少しずつですが、個々の力を発揮する時代に変わりつつありますか?

園:そうだな…、今もうどんどん日本に手厳しくなってるから(笑)

──手厳しい意見、お願いします(笑)

園:う~ん、まぁ、日本社会はまだまだ甘いと思う、実力主義にならないから。たとえば海外の番組でアメリカンアイドルとか、歌番組のコンテストって、日本と違って外見の良さとかではなく、めちゃくちゃうまい才能のある人しか、のし上がれないじゃないですか。そういう実力主義なところがはっきりスポーツ以外でも出ないと、もう文化は育たないと思う。

 こんなにスポーツ番組が多い国もなかなかないなというか、日本って珍しい国で、テレビつけると料理かスポーツばかり。文化への関心が低すぎるんで、とにかく文化度を上げていかないと。オリンピックも近いけど、オープニングの催しも、恥ずかしくなく出せる水準のものが作れるんだろうか。だから演技が良ければ顔は関係ないとか、歌もそうだし、実力主義的なところをもっと芸能にも取り入れていくべきだと思っています。

【園子温(その・しおん)】
1961年愛知県生まれ。映画監督。1987年、『男の花道』でPFFグランプリ受賞。以後、『自転車吐息』『自殺サークル』『紀子の食卓』など多数作品が世界でも高く評価される。『愛のむきだし』で第59回ベルリン国際映画祭カリガリ賞、国際批評家連盟賞をダブル受賞。『冷たい熱帯魚』『恋の罪』『ヒミズ』『地獄でなぜ悪い』など数々の国際映画祭で受賞。他に『希望の国』『TOKYO TRIBE』『新宿スワン』『リアル鬼ごっこ』、オムニバス作品『クソ野郎と美しき世界』など。

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