「現役の警察官の時なら、暴力沙汰を起こしている相手や酔っぱらいに対して、強く接することもできましたが、病院で相手が患者さんの場合はそうもいかない。『ちょっと涼しいところに行きましょう』などといって、基本は常に“相手の立場を考慮”しながら状況に応じた声かけに徹し、粘り強く説得して現場解決に努めています」
他にも、がん患者に余命を伝えたところ、患者が自暴自棄になり、「『ほかのヤツも道連れにしてやる!』と同室の患者を襲った事件もあった」と証言するのは、元警視庁捜査一課管理官の横内昭光氏だ。同氏は2004年、慈恵医大病院が全国で初めて「院内交番」と呼ばれる渉外室を設置。警察OBが常駐して院内を監視するシステムを立ち上げた。
暴力を振るうのは患者とは限らない。
医師が交際していた看護師に対して、フラれた腹いせに手をあげたり、医師と研修医がひとりの看護師を奪い合い、研修医が刃物を持ち出したケースもあったという。
※週刊ポスト2018年8月10日号