──マツダが考えるクルマの方向性は、プレミアムゾーンを狙うということですが、だとすれば、表現が適切かどうかわかりませんが、たとえば和製ベンツ、和製BMWのような存在感を最終形として考えたいということでしょうか。

前田:具体的にBMWかどうかは何とも言えないですが、そのクルマを持つことによって豊かになっていくことがプレミアムブランドの定義だと思います。

 単純にいいモノを持ったら嬉しいじゃないですか。権威を誇示するような世界ではなく、ユーザーが生活の質の向上を実感できるものを提供したい。その意味でのプレミアムブランドになりたいし、老舗でいいモノをこだわって作り続けるブランドになりたいですね。

──マツダと同じようにフォードグループから離れた、スウェーデンのボルボ車のデザインを前田さんは評価しています。

前田:ボルボは素晴らしいと思います。我々と彼らが独り立ちした時はほぼ一緒なんですが、彼らも自分たちのオリジンって何だろうと相当真剣に考えたと思います。

 フォードの一員であった時期は、ボルボもマツダと同じような方向に向かったんです。要はスポーティでスタイリッシュと、ブランドの位置づけもすごく近かった。いったん、そのカッコいいスタイルの財産を全部捨てたわけで、その勇気がすごい。

 いまは、クルマのインテリアもスカンジナビアンデザインのクオリティで、ものすごくよく考え抜かれている。どれだけ深く自分たちの存在価値と向き合ったか、その戦略性には脱帽です。

──ではある意味、ボルボがベンチマークになりますか。

前田:デザインの方向性はたぶん、マツダとボルボとでは全然被らないでしょうが、彼らの生き様は相当いいなと思っていますし、何よりスカンジナビアンデザインという強い武器があって、それをうまくクルマにも体現できていると思います。北欧デザインって、ある種の憧れもありますし、そういうものがベースにあるのは羨ましいですね。

──再来年、2020年の東京五輪イヤーにマツダは創業100周年の節目を迎えます。

前田:そのころにはマツダのブランド価値をポーンと大きく上げられるようなデザイン企画が披露できたらいいなと思っています。

■聞き手/河野圭祐(ジャーナリスト)
■撮影/内海裕之(前田氏)

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