饒氏は中国メディアに対して、「大使館は通常、その国の人々と友人になるのが仕事だが、アメリカ大使館は傲慢だった。こんなことをやっていては、アメリカにマイナスの影響を与えるだけだ」と憮然とした表情で語ったという。
しかも、饒氏は以前は米国籍をもつ米国民だった。饒氏は1991年、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)やハーバード大学で神経科学や生物化学の研究に従事。ミズーリ州のセントルイス・ワシントン大学で講師、教授を務めた後、米国籍を取得。その後、中国当局の海外人材呼び戻し計画、「千人計画」に応じ、2007年には米国籍を放棄し中国に帰国した。
現在、北京市政府がバックアップしている北京脳科学と類脳研究センターの主任と同センター法人代表も務めている。
饒氏は米国籍を放棄したことが影響したのか、2016年以降、米国での学術交流活動のほか、親族訪問のための渡米ビザさえも拒否されている。
これについて、在米中国人学者の楊占青氏は、米政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」の取材に対して「饒氏は米国で長い間、科学研究活動に携わった後、米のハイテク技術を中国に持ち帰り、現在中国でその分野の第一人者になっている。このような過去を持つ人に対して、米政府は警戒せざるを得ないのではないか」と指摘している。