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2018.08.13 16:00  週刊ポスト

秋野太作 桃井かおりに学んだ「地でやる」という自由な演技

 七九年には『俺たち~』と同じく鎌田敏夫脚本の『ちょっとマイウェイ』に出演する。主演は桃井かおりだった。

「桃井さんは演技者としてユニークな人だよ。嘘をつかないというか、普段と何も変わらない。そういう人って、いるようでいなかった。でも、地でやっているようで、ちゃんと表現になっている。ただ地でやっているだけの人は今いっぱいいるけど、それとは違うんだよね。

 普通は台本を読んで役をイメージして演じるんだけど、あの人はそういうイメージを持たないで、やりたいようにやる。そういう人と絡む場合は、こっちが計算した芝居をすると逆に物凄く浮き立つ。こっちの嘘がバレちゃうんだ。だから、一、二本撮った時に、何か妙な感じでみんなが彼女と合わないんだ。

 その時、共演者みんなで集まって話し合った。それで僕が生意気にも『皆さん、主役の芝居に合わせた方がいいんじゃないですか』って言ったんだよ。みんな『え?』という顔をしていたけど、その時に味方してくれたのが緒形拳さん。『こいつの話は聞いた方がいいよ』って。『必殺仕掛人』の時に二人でいろいろやってきたから、信用してくれていたんだ。

 それで、三話目からみんなで桃井さんに合わせて地を出しながら自由に演じることにしたら、芝居を楽しめたんだ。

 鎌田さんのホンって、脚本通りに演じても面白くならない。セリフを変えるという意味ではなくて、芝居にプラスアルファをすると凄く生きてくる。だからこれも上手くいったと思う」

●かすが・たいち/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『鬼才 五社英雄の生涯』(ともに文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社)など。本連載をまとめた『役者は一日にしてならず』(小学館)が発売中。

■撮影/横田紋子

※週刊ポスト2018年8月17・24日号

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