ビジネス

「日本人、そんなに休んで大丈夫?」 大学教授が危惧する訳

真のワーク・ライフ・バランスも効率的な生産性の向上が不可欠

 夏のお盆休み──今年は日ごろの残業時間の帳尻合わせか、はたまた会社の働き方改革の影響か、中には1週間以上の連続休暇を取っているサラリーマンもいるだろう。だが、こうした休日の増加傾向に警鐘を鳴らすのは、同志社大学政策学部教授の太田肇氏だ。

 * * *
「働き方改革」の号令のもと、残業を削減する動きが進んでいる。会社や部署によっては「残業ゼロ」を実現しているところもある。社員に夏休みをまとめて取らせる企業も増えた。

 ちなみに会社員を対象にしたある調査によると、今年の夏休みは「5連休」が最も多いそうだ。天皇陛下の譲位と重なる来年のゴールデンウィークは10連休になるとか、再来年の東京五輪期間中もまとまった連休にするといった話も聞かれる。

 一方で、厚生労働省の中央最低賃金審議会は、最低賃金を全国平均で26円引き上げるよう決めた。時給で示すいまの方式に変わった2002年以降、最大の引き上げ幅である。

 労働時間が減って休暇が増え、なおかつ賃金が上がるとしたら働く者にとっては喜ばしいことだ。しかし中小企業の経営者の口からは、これではもたないという声も聞かれる。はたして大丈夫だろうか?

 わが国の国民一人あたりGDP(国内総生産)は1993年にはOECD加盟国のなかで6位だったが、1990年代後半に急落し、その後は17位~20位あたりで推移している。また、2015年における時間あたりの労働生産性は、主要7か国の中でわが国が最も低く、アメリカ、フランス、ドイツのほぼ3分の2である。

 さらに国際競争力のランキングをみると、1992年には1位だったが、こちらも1990年代の後半に急落し2018年には25位にとどまっている(スイスのビジネススクールIMDの調査)。

 このようにわが国はGDPや労働生産性にしても、国際競争力にしても昔と違って世界に誇れるような地位にはない。むしろ低迷しているというのが現実だ。そんななかでインプット(労働投入量)を減らせば、当然アウトプット(生産量)は下がる。このままだと、わが国の経済力も国際競争力もいっそう低下すると考えるのが自然である。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト