『デビルマン』や『バイオレンスジャック』の世界観も衝撃でした。単なる正義の味方ではなく、ドロドロとしたダークヒーローのイメージにやられました。
僕の映画を作る上でも間違いなく影響を受けています。
ただ完全に永井ウイルスに感染しちゃっているので、あらゆるシーンやカットに痕跡はあるものの、明確に「これが永井作品の影響だ」と取り出すことはできない。それくらい血となり肉となっているのです。
もちろん僕だけが永井ワールドに影響されたわけではない。
『マジンガーZ』がなければ『機動戦士ガンダム』や『新世紀エヴァンゲリオン』もなかったでしょうし、巨大ロボットが戦うハリウッド映画『パシフィック・リム』もなかったでしょうね。
今年の5月に発表したのですが、監督園子温、主演ニコラス・ケイジで『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』というハリウッド映画の制作が決まっています。これがまさに永井作品の『バイオレンスジャック』のようなアクション映画なのです。
【プロフィール】その・しおん/1961年生まれ。『愛のむきだし』で第59回ベルリン国際映画祭カリガリ賞、国際批評家連盟賞をダブル受賞。最新作は『クソ野郎と美しき世界「ピアニストを撃つな!」』(2018年)。
※週刊ポスト2018年8月31日号