「今はインターネットで顔写真や名前が暴露され、それが半永久的に残る。犯罪者の社会復帰が難しい時代です。受刑中に社会で生きていく方法を身につけないと、出所後の行き場がなく暴力団やアウトローに近づき、再び犯罪に走るリスクが高まる。服役中から社会と断絶したプログラムではなく、社会に適応しやすい環境を作ることを心がける必要があります」(前出・矢幡さん)
欧米諸国や韓国では、性犯罪者の居住情報を公開したり、出所者にGPSを取り付ける再犯防止策が講じられている。日本では人権への配慮からなかなか進まないが、欧米並みの厳罰化を求める声は年々高まっている。
一方、少年法に詳しい千葉大学大学院教授の後藤弘子さん(刑事法)はこう指摘する。
「性犯罪者の居場所を公開したり、GPSで監視するのは、再犯の防止に直接つながるわけではありません。むしろ、社会との隔絶が広がったり、出所後の社会復帰が難しくなるので、再犯までの期間が短くなるという指摘もあります。日本は初犯の数が年々減少していますが、一方で検挙された人のうち再犯者の占める割合は高くなっています。
湊容疑者の場合は『なぜ出所後20年近く逮捕されていないのに今回犯罪に手を染めてしまったのか』、その原因をはっきりさせることで、社会に戻った際の周辺の人々の不安を払拭することにもつながります。このように、より充実して個人に合わせた更生プログラムを組むなど、現状の問題点を解決することが再犯防止につながるはずです」
これ以上悲劇を繰り返してはいけない。
※女性セブン2018年9月13日号