一方、同研究では座ってコンピューターを使用した場合はリスクが上昇しなかった。
「コンピューターの場合はマウスを操作したり、画面に集中するケースが多い。運動不足や間食など、がんを招きやすい要因が少なかったのではないでしょうか」(同前)
愛知県がんセンター研究所では2011年、食道がんと頭頸部(口の中や喉など)がんの患者856人と、がん患者ではない2696人を対象に大規模調査を行なった。
その結果、歯磨きが1日1回未満だった人は、1日1回以上磨く人よりもがんになるリスクが79%も上昇した。この研究を行なった、同研究所・がん予防研究分野分野長の松尾恵太郎医師が言う。
「炎症によってがんリスクは上昇します。このケースでいえば、口腔内の衛生状況の悪化が原因で歯周病などの炎症が起き、口や喉のがんが増えたと考えられます。
また、口内細菌の繁殖によってアセトアルデヒドという発がん性物資が発生し、それが喉周辺のがんを招いているとも考えられます。うがいでアセトアルデヒドを洗い流すことで予防効果が得られますが、歯みがきでも同様の除去ができるでしょう」
上記の研究では、1日2回以上歯磨きをする人は、1日1回の人よりさらにがんのリスクが18%低下していた。
※週刊ポスト2018年9月14日号