「“家族に迷惑をかけている”と思って、耐えられなくなったんでしょうか。自分から“家を出たい”と言い、一時的に都内の介護付き老人ホームに入所したそうです。いったんは母の意見に押し切られ入所を認めた大竹さんでしたが、なかなかよくならない江すてるさんを見て“やはり母は自宅で私が看たい”と、呼び戻していました」(前出・大竹の知人)

 こうして在宅介護が始まったが、肩の痛みが癒えても江すてるさんの精神面はなかなか回復しなかった。

 前述の大竹のエッセイによると、起きていても役に立たないからとベッドに横になる時間が多くなり、ますます心身の衰弱が進む悪循環に陥った。食欲が著しく低下して脱水症状になりかけたが、心臓に負担がかかるため点滴を受けられなかった。食べられなくなって3週間が経過し、日増しに衰弱する江すてるさんは「もう、さよならかしら」と弱音を吐くようになったという。

「江すてるさんは『老年期うつ病』と診断されました。それから医師の指示で精神面のケアに取り組むようになったそうです」(前出・大竹の知人)

 腕を少しずつ動かせるようになり、家事をこなせる量が増えると、うつ病も徐々に回復。しかし、加齢に抗うことはできなかった。昨年から、徐々に記憶力の低下が見られるようになった。しかも、記録的な猛暑に襲われた今夏、体調は急激に悪化した。

「再び食欲も低下。体重は20kg台まで落ち込んだそうです。在宅の間も週に2~3度はデイケアに通って体を動かしたりしていたそうですが、外出する体力がなく休みがちに。体の痛みがつらいのか“助けて”と口にすることもあったそうです」(前出・大竹の知人)

 8月の台風の日、救急搬送される事態も起きた。江すてるさんは自分の痰をのみ込めなくなり、顔色は真っ青に。救急車で病院に運ばれた。その時の心情を大竹はこう綴っている。

《何度うろたえ、何度安堵し、何度涙しただろう》(8月24日付)

※女性セブン2018年9月20日号

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