しかし、2つの新番組は、期待感と同等以上の大きな不安を抱えています。
『坂上どうぶつ王国』の不安は、“動物番組”というジャンルの難しさ。現在、『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)、『トコトン掘り下げ隊!生き物にサンキュー!!』(TBS系)、『もふもふモフモフ』(NHK)、『超かわいい映像連発!どうぶつピース!!』(テレビ東京系)などが放送されているため、業界内には「動物番組は飽和状態」という声もあります。
また、「絶滅ゼロ部」「ハリコミ隊」など社会派の内容を含む『志村どうぶつ園』以外は、「かわいい」にほぼ特化した番組ばかりだけに、明確な差別化は必須。さらに『坂上どうぶつ王国』は『どうぶつピース!!』とは同じ時間帯に放送されるため、動物好きの視聴者が分散することも危惧されます。
一方、『99人の壁』の不安も、“クイズ番組”というジャンルの難しさ。現在ゴールデンタイムで放送されているクイズ番組は、『ネプリーグ』『今夜はナゾトレ』『潜在能力テスト』(フジテレビ系)、『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』『くりぃむクイズ ミラクル9』(テレビ朝日系)、『東大王』『世界・ふしぎ発見!』(TBS系)、『超問クイズ!真実か?ウソか?』(日本テレビ系)があり、こちらも飽和状態。しかも、東大生などのクイズ識者以外はすべてタレントが解答者のクイズ番組であり、『99人の壁』は「一般人ではエンタメ性に欠ける」という業界内の共通認識に逆らう形になります。
また、フジテレビの土曜19時台は、昨年4月~9月まで『クイズ!金の正解!銀の正解!』を放送していた枠。低視聴率のままわずか半年間で終了したあとに、『さまぁ~ずの神ギ問』を1年間放送し、「またクイズ番組をスタートする」ことを懸念する人は少なくありません。
さらに過去を振り返ると、フジテレビの土曜19時台は、1991年10月~1997年9月まで『平成教育委員会』、2004年4月~2009年3月まで『脳内エステ IQサプリ』が放送されていたクイズ番組の名門枠。局内には、まだそのイメージが残っているようですが、現在の視聴者は「土曜の夜にクイズ番組を見る」という習慣のない人が多く、認識のギャップが不安視されます。
◆ライバルは『ムツゴロウ王国』と『ミリオネア』