前述した通り、動物番組もクイズ番組も飽和状態であり、だからこそフジテレビは「企画ありき」の新番組を用意しました。そのオリジナリティを踏まえると、本当のライバルは他局で放送中の番組ではなく、フジテレビでかつて放送されていた『ムツゴロウとゆかいな仲間たち』と『クイズ$ミリオネア』なのかもしれません。視聴者に両番組のようなインパクトを感じさせられれば、ヒットの可能性は高まるのではないでしょうか。
同局の齋藤翼・編成局編成センター編成部長は、「他局では高年齢向け番組が存在していますが、私たちは高年齢の方しか見られない番組を作る気はありません」と断言しました。視聴者層の高齢化が叫ばれる中、動物番組とクイズ番組は若年層の視聴者を引き寄せられる貴重なコンテンツだけに、「看板番組に育てたい」という思いは強いようです。
そして忘れてはいけないのは、『99人の壁』のあとに放送される土曜20時台の番組について。説明会では、現在放送されている『世界!極タウンに住んでみる』の終了と「バラエティーを放送する」ことだけが明かされ、新番組の内容は発表されませんでした。土曜20時台は、『オレたちひょうきん族』『めちゃイケ』などを放送してきたバラエティーの名門枠だけに、「今秋にどんな勝負を仕掛けるのか」、注目を集めるでしょう。
「フジテレビ開局60周年」のアニバーサリーイヤーとなる2019年をどんな状態で迎えるのか。その行方を左右するのは、やはりバラエティーという流れになりそうです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。