亡くなってから1年も経っていないため、部屋には血の跡もついていた。尻込みする両親に西川は「お願いします」と頼み込み、一夜を明かした。
「いざ部屋に入ったら、怖くて眠れない。夜が明けてから、やっと1時間ウトウトできた。だけど彼がベッドで見ていた景色や窓の風景、部屋のにおいといった感覚を知ることができて、自分に取り込むことができました」
『Winter』の初演は、2017年12月、カーネギーホールの大ホール、ピアノの上に置かれたリアムくんの遺影に見守られながらの演奏だった。これが話題を呼び、この秋公開される映画『栞』の主題歌に抜擢される。リアムくんの魂は、曲に乗って念願の日本にやってきたのだ。
「リアムの肉体はこの世にないけれど、紙一枚の残した作品にゴヘイが命を吹き込んでくれた。翼を持って羽ばたいているんです」
そう語るリアムくんの母の目には、うっすらと涙がにじんでいたという。
※女性セブン2018年9月20日号