そして「騙された自分が悪い」と逆にふさぎ込んでしまい、その事実を記憶から消し去ろうとする。最悪なのは、そうやって追い込まれた女性をターゲットにする詐欺師も存在し、彼女たちはさらにボロボロになるまで「利用」されるのだ。
騙される方が悪い──本稿を読んでそう感じる方も少なからずいるだろうが、決してそうではない。それは、DV被害者に対して「加害者は一見まじめに生活を送っているようだから、殴られる側にも理由があるのでは?」と邪推するのと同じだ。自分からは見えていなかった一面を否定したいために加害者の過失を認めず、起きた出来事をどうとらえるかという事実の認知をゆがませ、被害者に過ちがあるとしてしまう。
おかしいのはどちらなのか、落ち着いて考えればわかることだ。常識がどうあれ、暴力を振るったり、金銭やひいては人生を搾取する側に過失があることは明らかであるし、それらは決して正当化されるべきものではない。
計画性がないからシングルマザーになった、彼女たちは精神的に不安定な人が多いから仕方ないという無意識の思いこみをもとにした、被害者に過失があるという考え方もまた危険であると指摘したい。それは、裏返せば加害者に対する責任追及の声が弱まることを示しており、悪がのさばっても世間は知らん顔、見て見ぬふりをする。その結果、卑劣な連中が開き直る。そうして開き直っている人たちが、本稿で取り上げた、シングルマザーを狙う狡猾な者たちだ。
このまま同じような感覚が蔓延し続ければ、誰であっても、卑怯者の餌食になったとき「騙された方も悪い」と言われる日が来る。自分たちはそんな目に遭わないと油断してはならない。彼らは、人の弱みにつけ込んで搾取するという点において、非凡な能力と努力をするからだ。騙されて追い込まれないよう常に緊張する、そんな殺伐とした社会で生きていくことを望んでいる人は、いないのが普通だと信じたい。