一方、ジーユーとユニクロがZARAよりも遅れている部分もあります。ここを解決しないことにはいくら試着専門店を作ったとしても利便性に満足はできません。それは店舗とネット通販の在庫が一元化できていないことです。

 どういうことかというと、ネット通販で見られる在庫と、各店頭に残っている在庫は別なのです。例えば、「ユニクロUのカラフルなマルチボーダー柄Tシャツの赤」が欲しかったとして、ネット通販では在庫切れになっているのに、実店舗には残っているということが珍しくありません。逆もまた珍しくありません。

 これはジーユーも同じです。そうなると、ネット通販で買おうと思っても在庫切れになっているので、近隣で在庫が残っている店舗に探して買うことになります。これではいくら今後各地に「試着専門店」を作ったところで、ネット通販の売上高は思うように拡大しないことになります。

 今後、ファーストリテイリングは、ネット通販と各店頭の在庫を一元化する必要性に迫られます。本来のネット通販には在庫切れになっているが、〇〇店には残っているからそちらから商品を取り寄せて送付する、そういう管理が必要になります。試着専門店よりもむしろそちらを急ぐべきではないかと個人的には考えます。

 試着専門店と在庫の一元化、この2つがそろってようやくネット通販売り上げの飛躍的な拡大が可能になります。ジーユーの試着専門店はそれらの課題も見据えたうえでのテストケースといえるでしょう。

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