ネット通販のメリットは、インターネット接続されているパソコンかスマホがあれば、いつでもどこでも商品を購入できるのが最大のメリットです。慣れるまではちょっと大変かもしれませんが、慣れてしまえば、電車の中からでも買い物ができます。早朝や深夜でも買い物ができます。
一方、デメリットは「触ることができない」ことです。これはどんな商品でも同じ条件ですが、とくに肌触りや触感、サイズ感などが重要になる洋服にとっては最大のデメリットになります。
例えば、ジーンズが画面上に並んでいたとします。ジーンズに限りませんが、Tシャツにしろ、セーターにしろ、各ブランドでそれぞれ生地の厚さが異なります。薄いのもあれば分厚いものもあります。しかし、画面で見る限りでは、その特徴はあまり分かりません。また肌触りも分かりません。生地をたくさん触ったことのある人は何となくそれらを推測できますが、生地に詳しくない人はさっぱり分からないでしょう。
また、ブランドやデザインによってもサイズ感は異なります。同じMサイズでもピチピチになってしまうブランドもあればダボダボになるブランドもあります。これらはどんなに画像をたくさん載せて言葉で説明しても完全には伝わりません。そのため、実店舗があるブランドとは異なり試着専用店が必要になるというわけです。
しかし、現時点ではZARAも今回のジーユーもネット通販に特化した試着専用店を増やす必要はないでしょう。なにせ、ZARAは日本国内に約100店舗、ジーユーは300店舗以上あります。どちらもある程度の地方都市にまで店舗があります。どうしても商品が見たければ、店舗まで足を運べば済むことです。
一方、販売業者側からするとネット通販には、実店舗にないメリットがあります。それは大幅にコストダウンできることです。実店舗だと月々の家賃、光熱費、人件費などが必要になります。10坪や20坪の小型店ならその金額も知れていますが、ZARAもジーユーも大型店がほとんどですから、家賃や人件費は莫大なものになります。ネット通販だとそれらが大幅に削減できます。ですから、各ブランドはネット通販に力を入れるわけです。
とはいえ、完全にネットに特化した販売でZARAやジーユーのような巨大ブランドが支えられるかといわれれば、それは不可能です。今期2000億円を突破するジーユーはネット通販のみではとてもその売上高は維持できませんし、ZARAとて同じです。
実店舗が完全に不要かというとそうではありません。でなければ、どうしてネット通販で絶大な猛威を振るうAmazonが米国で実店舗を出店する必要があるのでしょうか。これはネット通販だけでは成長に限界があるからです。
大きな売上高を獲得するためには、実店舗+ネット通販という組み合わせが必要不可欠。実店舗でここまで巨大になったからこそZARAやジーユーもこれ以上の成長を目指してネット通販の強化が必要というわけです。ネット通販を強化できるのは、実店舗が大量にあるジーユーだからこそともいえるのです。