私には不思議でしかたがないことがある。全国の寺院でなにかよいことのように催されている稚児行列だ。日本中の人権団体はなぜ抗議行動を起こさないのだろう。稚児って、児童に対する性的虐待だぜ。
『岩波仏教辞典』の「稚児」の項に、こうある。
「寺院…などに召し使われる少年を指し、これが男色の対象ともなり、近世には〈寺小姓(てらこしょう)〉と呼ばれるものもあった」
女色は禁止されているけど男色を禁止する明文はないぞ、という言いわけで児童虐待である。上田秋成『青頭巾』に描かれたのは、幼児姦の上に屍体姦だ。確かに、屍体姦禁止も明文化されてないけど。
●くれ・ともふさ/1946年生まれ。日本マンガ学会前会長。著書に『バカにつける薬』『つぎはぎ仏教入門』など多数。
※週刊ポスト2018年10月5日号