人気球団である阪神は、ファンの声を他球団以上に気にする体質がある。2011年には 、4位に終わった真弓明信監督の采配がファンから痛烈に批判され、新たに結んだ2年契約の1年目ながら解任された。2012年に就任した和田豊監督は4年でAクラス3度という成績を残しながら、金本知憲監督に代わった。
「2リーグ分裂以降、阪神を3年連続Aクラスに導いた監督は松木謙治郎氏、藤村富美男氏(1955年はシーズン途中に就任)、藤本定義氏、岡田彰布氏、和田豊氏の5人しかいない。それなのに、ファンの和田監督への風当たりは強かった。それと比べれば、現在のチーム成績の割に、金本監督への批判は少ないほうではないでしょうか」
フロントはファンの声に左右されず、1人の監督に任せることで長期的な展望を描こうとしている。だが、肝心の若手も思うように育っていないのが現状だ。社会人経由で2年目の糸原健斗がレギュラーに定着したくらい。大卒2年目の大山悠輔は出場機会を与えられているものの期待されるほどの活躍はできていない。東京六大学の通算安打記録を持ち、1年目の2016年にはオールスターにも出場した高山俊、昨年20本塁打を放った中谷将大は伸び悩んでいる。巨人に、22歳の岡本和真という4番打者が誕生したのと対照的だ。
「既定路線で続投した場合、元中日の和田一浩氏を招聘する以外、コーチ陣は1軍と2軍の入れ替えを行なうだけで済まそうとしている。成績が付いてこないのに、これでは単なる独裁政権ですよ。大半のコーチ陣の留任が現実になれば、1990年代の暗黒時代に逆戻りする可能性もあります。あの頃は低迷していたのに、コーチ陣は球団との繋がりの深い人ばかりを呼ぶだけで、新たな血を入れようとしない年も多く、それがチームを停滞させた。金本監督が続投しても、コーチ陣は激しい入れ替えをすべき。そうしない限り、選手はシラケます」
最下位で若手も育たず、それなのに首脳陣も変わらない──。このままでは、再び暗黒時代へ突入する可能性があるだろう。