芸能

OLガッキーを「キモい」と喝破するドラマ『けもなれ』の斬新

視聴率も好調にスタート(番組公式HPより)

 秋はドラマにおいても名作が生まれやすいとされる季節である。いよいよ幕が開いた。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 続々とスタートした秋ドラマ。風変わりなタイトルが耳に入ると、興味をそそられます。最後まで楽しみながら視聴できる奥深い作品、心に響く作品に出会えるのか。滑り出しのこの時期は特にワクワク。

 タイトルを見回してみると……『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ系火曜21時)、『獣になれない私たち』(日本テレビ系水曜22時)、『僕とシッポと神楽坂』(テレビ朝日系金曜23時15分)、『今日から俺は!!』(日本テレビ系日曜22時)……と、ある傾向性が見て取れる。それは、「僕ら」「私たち」「僕」「俺」と一人称タイトルが並んでいること。

 つまり、自分語りです。他者から見えている姿ではなく、主人公の「本音」「内面」に軸足を置いたストーリーを予感させます。

 中でも1番の話題作と言っていいのが『獣になれない私たち』。新垣結衣×松田龍平のW主演の上に、『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』の野木亜紀子オリジナル脚本とくれば、がぜん期待は高まります。

 10月10日の第一話は……ガッキーが「普通」を演じる新鮮さに、しみじみと感じ入りました。主人公はアラサーOLの晶(新垣結衣)。「常に笑顔で」「仕事は完璧」と職場で理想の女を演じ、パワハラ社長ややる気のない部下に振り回され、結果として疲弊しきっている。いわば、どこにでもいるような過剰適応型OLの、内面の葛藤。

 一方、松田龍平が演じるアラサー男・恒星は、見かけはお調子者で世渡り上手だけれど、どこかそんな自分に限界を感じている会計士。こちらも巷にいるいるタイプ。

「バカになれたらラクなのにね」と恒星は言う。つまり晶も恒星も、タイプは違うけれどバカになれない「頭でっかち」な大人。この人たちが、考えすぎることなく「獣のように」自然にふるまえる日は来るのか? 心の自由を手に入れることはできるのか? ドラマが発する問いかけは、日常的でかつ根が深く、実に本質的な問題提起でもあります。

関連記事

トピックス

ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
山本アナ
「一石を投じたな…」参政党の“日本人ファースト”に対するTBS・山本恵里伽アナの発言はなぜ炎上したのか【フィフィ氏が指摘】
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
今年の夏ドラマは嵐のメンバーの主演作が揃っている
《嵐の夏がやってきた!》相葉雅紀、櫻井翔、松本潤の主演ドラマがスタート ラストスパートと言わんばかりに精力的に活動する嵐のメンバーたち、後輩との絡みも積極的に
女性セブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
思い切って日傘を導入したのは成功だった(写真提供/イメージマート)
《関東地方で梅雨明け》日傘&ハンディファンデビューする中年男性たち デパートの日傘売り場では「同い年くらいの男性も何人かいて、お互いに\\\\\\\"こいつも買うのか\\\\\\\"という雰囲気だった」
NEWSポストセブン
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン