■小商いは「2人制」がオススメです
──本屋を始め、精神的に満たされているというお話でした。一方、平日も週末も働かれているわけで、自由な時間がなくなっている点についての時間的負担は感じませんか?
安村:本屋を始めるにあたって不安だったのは、インプットの機会が減ることでした。仰るように、遊びに行くような自由な時間が減るからですね。しかし、杞憂でした。僕はここに居れば、お客さんが来てくださり、何らかのコミュニケーションが生まれる。猫好きの方って話好きの方が多いんですよ。それからこうやって取材を受けて、予期せぬ方とつながったりもする。場所があると、居ながらにしてインプットができると知って、これは凄いことだなと。本屋に限らず、店を構えている人はみんなそうなんだと思いますね。
──体力的な負担はいかがですか?
安村:今のところ負担は感じていません。むしろ、もやもやしていた頃に比べてぐっすり眠れるようになりました。平日、店に立っている妻とは、交代で休みを取るようにしています。
──奥さまとは公私共に良きパートナーですね。
安村:本屋に限らず小商いをやるなら、夫婦でなくてもいいのですが、信頼できるパートナーがいるかどうかによって、活動の幅が大きく変わってくると思います。一人でもできると思いますが、一人でできることは限られているので。僕も最初は一人で本屋をやるつもりだったので、土日だけ物件を借りようかと考えていました。妻が一緒にやると言い出してくれたことで、毎日開いている本屋ができたわけで、感謝しかありません(笑)。それはともかく、僕のお勧めは「2人制」です。3人になると、1対2に分かれる可能性があるし、大人数のチーム制になると、事業規模は拡大できるでしょうが、どうしても意見の違う人が出てくると思うんです。
そういうわけで何の負担も感じないほど今はとてもラクなのですが、慣れてくると飽きにつながるから、その点が一番心配ですね。お客さんに飽きられないように、また、僕自身が飽きないようにどう手を打つべきか、日々考えています。