ビジネス

パラレルキャリアで猫本屋を開業した49歳会社員の「目標」

かわいい猫店員が迎えてくれる本屋です

■「本×猫×ビール」で生まれた、どこにもない空間

──ここまでのお話で、安村さんの本屋が赤字のような印象を持たれた方がいらっしゃるかもしれませんが、『夢の猫本屋ができるまで』によると、ちゃんと儲かっています(例:2018年3月の営業損益は約28万円)。また、開業資金をクラウドファンディングで集めるなど、安村さんは、ソーシャルビジネスに長けてもいる。そのあたりは収支が細かく記載されている本を参照いただくとして、では、なぜ「猫本屋」だったのでしょうか。

安村:50歳が近づいてきて、このまま老後を迎えるのだろうかともやもやし始めたんです。僕は今の会社に14年いるのですが、その前は、新卒で会社員になった後、何回も転職をしています。飽きっぽいんですよ。そんな僕が14年も同じ会社にいるのは、マーケティングの仕事が合っているとか、環境がいいとか、内勤でスーツを着なくていいとか、理由は色々あるのですが、年齢的に、容易に動けなくなってきたというのもありました。

 では会社は変えず、自営で新しいことが何かできないか考えたときに、「小売業」しか浮かばなくて、自分が売れるものといったら「本」しか浮かばなかった。本はずっと好きだったから、本のことならある程度わかるという自負があったんです。

──「本」ありき、だったんですね。そこに「猫」と「ビール」が加わったのは?

安村:本屋をやりたいと考えるようになってから、本屋開業のための講座をいくつか受講しました。その中の一つ、内沼晋太郎さん(ブック・コーディネイター、クリエイティブ・ディレクター)が主宰されている講座で、今の時代は「本×〇〇」が必要という話を聞いて、なるほどと。そこから、本と掛け合わせる「〇〇」を考え始めて、これについては色々な選択肢が浮かんだんですが、最後に残ったのが、猫とビールでした。

 猫は、うちで15年飼っていたのが保護猫だったことが大きいですね。今、『Cat’s Meow Books』には猫店員が5匹いますが、みな、保護猫です。それからビールは、単に僕がいつもビールを飲んでいるから。本と猫に囲まれてビールを飲んで過ごしたい……結局、自分が余生を過ごしたい空間を作ったということですね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン