ライフ

僧侶のウソから「戒名」ビジネスが始まったという説あり

戒名は必要か(写真:アフロ)

「クールジャパン」の一角を成しているのは間違いなく日本の「伝統」だろう。だが、私たちが「伝統」と信じているものの中には歴史の浅いものが結構含まれている──。

 葬儀の多様化で戒名をつけない人も増えているが、それは伝統の軽視なのか。

「戒名は元々、仏門に入る際のお坊さんの名前で、生前につけていました。一般庶民が死後につけ始めたのは、江戸時代から。当時のお寺は、寺請制度により市役所の役割を果たしていて、故人に戒名をつけるのはその一環でした。ちょうどその頃、寺側が、『死んだ者に戒名をつけろと、幕府から命令が下った』という偽文書を流したこともあり、これが戒名ビジネスの始まりとの説もあります」(関西大学講師・林公一氏)

 ただ、お布施による段階別の戒名が登場するのはもっと後だ。

「戒名料(お布施)が高額化したのは、寺請制度の流れをくむ檀家制度が弱体化した、戦後の高度経済成長期以降。寺への貢献度による戒名のランク付けが有名無実化し、金銭で格の高い戒名が購入できると認識されたことや、寺の経営を支える檀家が減り、寺側が収入源を戒名に求めたことが要因としてあります」(宗教・歴史ライターの古川順弘氏)

 戒名を日本の伝統とするには無理がある。

※SAPIO2018年9・10月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン