他にもこの取り調べで山下氏からは、「会社取引というなら息子さんの会社も事件に関係するから、息子さんを検察に呼ばなくてはならない。その上で法人税法違反となると、息子さんも共犯となる。それでいいのか。個人所得と認めて、あんたが責任を取ればいいんだ!」と家族に累が及ぶことへの言及もあったという。

 特捜部の“厳しい取り調べ”の弊害が表面化し、取り調べ可視化(録音録画)が導入されるのは、2010年の大阪地検特捜部証拠改ざん事件が起きてからのこと。

 改めて秋山氏に取材すると、取り調べでの山下氏の一連の発言を認めた上で、「今更、言うこともないんだが……」としつつも、次のように続けた。

「記者会見で“国民の胸に落ちる法務行政を”と、述べていたが、ぜひそれを実現してほしい。私の捜査では、子供の逮捕をチラつかせたり、従業員の自宅にまで強制捜査をかけて揺さぶったりと、とても胸に落ちるものではなかった」

 山下事務所は、秋山氏への発言について「ご指摘の個別事件についてのコメントは差し控えさせて頂きます」とするのみ。果たして“法の番人”に相応しいのか。

※週刊ポスト2018年10月26日号

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