◆行儀よりも食べやすさ 両ひじついて堂々と
病気でなくても、高齢のために食べにくくなるのは仕方がないこと…と、少々なりゆき任せの家族や本人にも、“口から食べる”ことにこだわってほしいと言う小山さん。
「足腰の筋肉と同じように、しっかり使い続けることで鍛えることもできます。まずは口の中をきれいにしましょう。毎日の歯磨きなどはもちろん、定期的に歯科医を受診して虫歯や歯周病の治療、必要があれば義歯を整え、プロの口腔内クリーニングを続けると安心です」
また食べるときの姿勢もとても重要だ。あごが引けるよう上半身をまっすぐにして、両足が床につくように座り、体がふらつくようならクッションなどを利用して、上半身を立てて安定させることが大切だという。
「両ひじを食卓につくと上半身がより安定するのでおすすめ。一見、行儀悪く見えますが、圧倒的に食べやすく、のみ込みやすくなるので、高齢者はぜひ堂々と(笑い)」
口から食べることは、まさに生きることそのものだ。小山さんは、終末期についても言及する。
「それでも体が衰え切って、食べ物を受けつけなくなるときが来ます。いわゆる老衰。これは誰にも訪れることです。でもだからこそ、生きている間は“口から食べる”ことにこだわりたい。
今、終末期医療に関する意思表示の問題が取り沙汰されていますが、私は自分の子供たちに、できるだけ最後まで“口から食べさせてほしい”と託しています。そのくらい大切なことだと、多くの人、家族に知ってほしいですね」
※女性セブン2018年11月1日号