「まだ研究が進められている段階で、どういった人に効果があり、どういった人にはないか、といったことが確実に区別できる方法がないのが現状です。
ただ、体調が安定しない方に効果が出にくい傾向があったり、早めに投与したほうがよいと判断できるようなデータもあり、患者の免疫力やがんの大きさ、進行度で効果が変わる可能性があります。免疫力自体が弱まってしまっていると、いくら薬ががん細胞からの“ブレーキ”を外しても、効果が悪くなってしまうということもあるかもしれません」(前出・里内氏)
がん治療の効果をあらわす指標に「奏効率」がある。がんのサイズが治療前より30%以上縮小する割合だが、肺がんではともに2割前後で、メラノーマで約4割だ。つまり、厳然たる個人差がある。末期のがんが寛解したケースもあるが、半分以上の人には効果がないのも事実だ。昨年、70歳の母を腎臓がんで亡くした40代男性が語る。
「がんが見つかったのは5年以上前で、オプジーボが腎臓がんにも適用された直後から、半年ほど使ったんです。でもほとんど効果はなくて、最初の投与から1年後に亡くなりました。期待が大きかったのに、残念でした。
ただ、いずれにせよ末期だったことを考えると、何もしないよりは、少しでも可能性がある方法を試して良かったのかなと思います。父は、母のためにできることをやりきった満足感もあるようです」
※週刊ポスト2018年11月9日号